1. 出荷前検品とは?
出荷前検品の基礎知識
出荷前検品(Pre-shipment Inspection/PSI)とは、製品が工場や倉庫から出荷される前に、品質・数量・寸法・機能・梱包・表示が発注仕様や規格に適合しているかを確認する工程です。輸出入取引における最後の品質ゲートとして機能し、不良流出やクレーム、返品・再送のリスクを大幅に抑制します。
検査は外観確認だけでなく、基本的な作動テスト、付属品の確認、バーコード・ラベル・注意書きの表記内容、輸送に耐える梱包強度など、顧客受領時の体験に直結する要素まで含めて行います。
出荷前検品の重要性
不良流出の抑止:市場・ECでの低評価やブランド毀損を防止。
コスト最適化:返品・再加工・再配送などの隠れコストを削減。
契約遵守:仕様逸脱・数量不足・梱包不備による紛争を未然に回避。
リードタイム安定:通関・配送でのトラブルを最小化し納期遵守率を向上。
適用業界と対象製品
出荷前検品は、電子製品類、繊維製品類、雑貨類、工業用品類、医療器械類、食料品類などほぼ全業界で有効です。大量生産品から高付加価値品まで、取引スキームや品質基準に応じて検査の深度を調整します。
2. 出荷前検品の方法
抜取検査(サンプリング検査)
ロットの一部を統計的に抽出して検査を行い、ロット全体の品質を推定する方法です。AQL(合格品質水準)などの国際基準に基づき、サンプルサイズや合否判定基準を決定します。コスト効率が高く、大量生産品や標準化された製品に適しています。ただし、すべての不良を発見できるわけではない点がデメリットです。
全数検査
ロットの全アイテムを一つずつ検査する方法です。医療機器、高級ブランド品、法令で厳格な基準が定められている製品など、不良が許されない分野で採用されます。コストや時間はかかりますが、最も確実性が高く、重大なクレームやリスクを避けるために有効です。
第三者検品(独立機関による検査)
中立的な第三者が現地工場・倉庫で検査を実施。客観性・トレーサビリティに優れ、海外生産や新規サプライヤー立上げ時の品質リスクヘッジとして効果的です。写真・数値・判定結果を含む検査報告書が発行されます。
3. 出荷前検品のプロセス
準備工程
仕様確認:図面・承認サンプル・検査基準書(外観・機能・寸法・許容差)を確定。
数量・ロット定義:ロットサイズ、抜取計画、検査水準を合意。
環境整備:照明・作業台・計測器の校正、写真記録のルール化。
現場検品工程
外観・寸法:傷・汚れ・ムラ、寸法・重量・付属品の照合。
機能テスト:基本作動・電源・ボタン・安全性(必要に応じ耐久簡易テスト)。
梱包・表示:内外装、輸送強度、ラベル・バーコード・法定表示の適合性。
数量照合:ピース数・カートン数・パレット構成の確認。
レポート作成・分析工程
代表写真、検査サマリー、欠陥分類(重大/軽微)、数量差異、再検査の要否を明記した検査報告書を作成します。傾向分析により不良モード(再発箇所・工程)を特定します。
改善・フィードバック工程
原因分析(人・設備・材料・方法・環境)に基づき是正・予防処置(CAPA)を実施。基準書や作業標準の改訂、作業者教育、工程内検査の強化などに展開し、次ロットでの再発防止につなげます。
関連情報:検品報告書見本 →

4. 出荷前検品の利点と課題
メリット
市場不良の抑制・ブランド信頼の維持。
返品・リワーク・再配送などの総コストを削減。
サプライヤーへの明確な品質フィードバックで継続改善を促進。
通関書類・規格適合の事前確認でリードタイム安定。
課題・制限
内部欠陥や潜在不良は工程内検査・試験が必要。
繁忙期や多品種少量ではリソース確保が課題。
基準の曖昧さ・主観差による判定ぶれ。
検査費用・時間の増加(ただし総コストでは抑制に寄与)。
5. 精度向上・最適化のポイント
精度向上のための方法
基準の明文化:承認サンプル・合否判定の写真基準を整備。
計測の標準化:器具の校正、測定方法の統一、ダブルチェック。
デジタル化:タブレット記録・バーコードでミスと漏れを削減。
よくあるミスと回避策
数量差異:ピッキング起点と梱包完了時の二重照合。
基準ブレ:写真基準と不適合事例集を全員で共有・更新。
記録不備:必須項目のチェックリスト化・入力必須化。
輸送破損:落下・圧縮簡易試験、パレット設計・結束強度の事前検証。
外部検品会社によるサポート
第三者検品会社は、標準化手順と豊富な実績により、短納期・多拠点・多品種の案件でも安定した品質と客観性を担保します。新規サプライヤー導入時、クレーム多発時、量産立上げ時に特に有効です。
6. 出荷前検品導入をお考えの方へ
「ヨシダ検品株式会社」は、日本式の管理体制で出荷前検品(PSI)をはじめ、抜取検査・全数検査・梱包検査・表示確認まで一気通貫で対応します。現地への出張検品とラボ環境での持込検品を提供し、写真付き報告書でトレーサビリティを確保します。
対応エリア:日本・中国・ベトナム・インド・バングラデシュ・フィリピン・インドネシア・カンボジア・タイ・トルコ ほか 国や地域ごとの法規・表示要件を踏まえ、納期とコストを両立する検査計画をご提案します。
関連情報:ヨシダ検品について →
