1. 輸出検品とは?
1.1 輸出検品の定義と目的
輸出検品(Export Inspection)は、海外出荷前に品質・数量・寸法・機能・梱包・表示・規制適合を総合的に確認する品質保証工程です。仕向け国の要件や顧客仕様と一致しているかを検証し、不良流出・通関差戻し・返品のリスクを大幅に抑制します。
1.2 海外出荷で重視すべきポイント
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適合性:表示・安全・素材規制など現地法規への準拠。
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一貫性:色ぶれ/サイズ差異/仕上がり差の平準化でブランド体験を守る。
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証跡化:写真・測定値・判定根拠の記録でトレーサビリティを担保。
1.3 対応業界と対象製品
繊維・アパレル、靴・バッグ、雑貨、電子製品、工業部品、医療関連品、食品包装など幅広いカテゴリーに対応。案件特性に合わせてスコープと深度を調整します。
2. 輸出検品のチェック範囲(スコープ)
2.1 外観・寸法・機能の基礎チェック
擦り傷・汚れ・縫製/組立不良、寸法・重量の許容差、基本作動・安全性などを承認サンプルと基準書で判定。欠陥区分(重大/軽微)で記録し、是正や選別の要否を決めます。
2.2 梱包・ラベリング・規制適合
輸送強度(内外装・緩衝・パレット化)、バーコード/SKU/ロット、原産国表示や法定マーク、注意表示/年齢表示/組成表示などを国別要件に沿ってチェックリスト化して確認します。
2.3 書類整合・トレーサビリティ
インボイス・パッキングリスト・HSコードと現物の突合せ、ロット/シリアルの紐付け、写真付きの検査報告書作成。COOや適合宣言が必要な商材では、表示と書類の不一致を重点的にチェックします。
関連情報:検品報告書見本 →

3. 地域・商流別の運用モデル
3.1 生産地域ごとの注意点
中国:多品種/短サイクルでの切替が多く、工程内基準のブレ抑制が鍵。
東南アジア(ベトナム/インドネシア/フィリピン/タイ/カンボジア):縫製・雑貨量産が中心。色ぶれ/サイズ差異の統制を強化。
南アジア(インド/バングラデシュ):検針や付属品強度、表示適合の重点監査が有効。
トルコ:欧州規制準拠とリードタイム厳守の両立がポイント。
3.2 商流別オペレーション(直送/越境EC/卸)
直送(D2C):単品欠陥がレビューに直結。梱包・同梱物・表示を最優先で管理。
越境EC:SKUごとの写真証跡と外観基準を強化し、返品・低評価を抑制。
卸出荷:ケース/パレット単位の数量・表示整合性、パレット設計の標準化が効果的。
3.3 実施形態の選択(出張/持込/ハイブリッド)
出張検品:現場事情に即応。量産初期/新規サプライヤーで有効。
持込検品:検針/X線や採寸環境が整い、判定の一貫性を担保。
ハイブリッド:現場選別+持込精査(最終検針/寸法)で速度と精度を両立。
4. KPIと改善サイクル(データで強化)
4.1 追うべき指標(KPI)
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不良率/重大欠陥率:カテゴリ・サプライヤー別に可視化。
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再検率・手直し率:再発兆候の早期検知。
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通関差戻し率:表示/書類不備の改善度を評価。
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OTS(On-Time Shipment):検品起因の遅延削減。
4.2 改善アクションの型
写真基準の更新、承認サンプルの再定義、CAPA(是正・予防処置)の展開、サプライヤー教育、資材ロット管理の強化など、原因―対策をロット単位でPDCA化します。
4.3 デジタル活用
検査アプリでの入力必須化、バーコード/ロット紐付け、ダッシュボードでのKPI監視、写真証跡データベース運用により、判定ブレや見落としを継続的に減らします。
5. コスト設計とスケジューリング
5.1 コスト最適化のポイント
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スコープ最適化:高リスク工程に工数集中、低リスクは抜取へ。
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集約化:複数SKUを同一拠点・同日でまとめて検品/検針。
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輸送設計:再配送発生コストを踏まえた梱包強度設計で総コスト抑制。
5.2 納期遅延を防ぐ段取り
生産計画と連動した検品スロット予約、前倒しの基準確定、資材ロットの事前承認、トラブル時の代替フロー(追加人員/持込切替)の準備でOTSを守ります。
5.3 役割分担(自社/サプライヤー/第三者)
自社:規格・写真基準・KPI/償却ラインの定義。
サプライヤー:工程内検査と是正の一次対応。
第三者:客観判定・証跡化・国別要件の監査で品質と適合性を担保。
6. 輸出前検品を始めるにあたって
「ヨシダ検品株式会社」は、日本式の品質管理体制で輸出検品をトータル支援。外観・寸法・機能・検針(コンベア/ X線)・梱包・表示・書類整合まで一貫対応し、写真付き検査報告書でトレーサビリティを確保します。
対応エリア:中国・ベトナム・インド・バングラデシュ・フィリピン・インドネシア・カンボジア・タイ・トルコ・日本。国や地域の規制要件を踏まえ、納期とコストの最適化を実現する検査計画をご提案します。
関連情報:ヨシダ検品について →
