オーディオ機器の全数検品は左右の音量差と差し込みの接触を順に通す
オーディオ機器の全数検品は左右の出の揃いと接続の接触を順に通す
一台ごとに音を鳴らして確かめる全数の検品は、見る項目の並び方で手間と精度が決まる。左右の出方の差と差し込みの触れ合いを先に固め、残りを後へ回す流れを解説する。
全数で鳴らす理由
オーディオ機器は、見た目の完成度と音の出来が別の話になる。化粧箱に収まる筐体が、いざ電源を入れると片側だけが沈んで聞こえる。そういう種類の落ちでは、抜き取りでは捕まえきれない。ロットの中から何台かを選んで済ませる方式は、左右の揃いのような微妙な差を拾う確率が低い。届いた先で右の音が遠いと指摘されてから慌てるより、全部に一度ずつ電気を通す方が、結局は静かで済む。
台数の多い依頼では、時間の掛け方を品目で変える。小型の再生機なら短く、スピーカーなら素材の響きまで含めて長めに。それでも左右の確認は省かない。
左右の出を並べて確かめる段
左右の差は、同じ番号の二台を並べて初めて読める。片側ずつ単独で鳴らすと、記憶に頼る判定になりがちだ。再生位置と音量の条件をそろえ、左だけ、右だけと切り替えながら、耳の印象をその場で言葉に残す。低域の締まり、高域のきらつき、鳴りの位置を、印刷した用紙に短く書き込んでおく。
判断の揺れを減らすには、判定する人の耳を揃える仕組みも要る。開始前に同じ見本を全員で聞き、強弱を表す言葉を共有しておく。人の数だけ形容がばらけると、後の照合で記録が引っかかる。
接続の触れ合いを手で追う
差し込み口の検査は、指の担当になる。プラグの入り心地が硬すぎれば端子を傷めるし、緩すぎれば使い始めてから音が途切れる。数回の抜き差しで掛かりの変化を追い、コードの根元に折れ筋が残っていないかも確かめる。軽く揺らしながら音が切れないかを聞く工程は、静かな部屋でこそ効果が立つ。
見た目の整った品でも、ここで途切れるものは落ちにする。外観の合格と作動の合格は、別の印で管理する。混ぜて一枚の記録にすると、後から原因を辿るときに足を取られる。
順に通す並びの設計
確認の順番は、壊れにくい項目から置くのが定石だ。箱から出した品は、まず差し込みの触感、次に左右の切り替え、最後に長めの連続再生へ進む。順番を守る理由は、原因の切り分けにある。いきなり長時間の再生から入ると、接触の軽い不良が発熱の話に混ざり、同じ品を何度も鳴らし直すはめになる。
検査中の台、印が付いて待つ台、合格して箱へ戻る台。置き場所を現場で先に分けておけば、人の動きは迷いなく回る。
落ちた品の扱いと記録
左右の差で落ちた品は、直して戻すか、出荷から外すかをその場で決める。どちらにせよ、番号と状態は記録に残す。後に工場側と話をするとき、どの台がどう出たかの書き込みがあれば、原因の話が抽象論で終わらずに済む。ヨシダ検品では、耳で確かめた結果を写真と短い注記で当日中にまとめ、細かい数値よりもその日の印象をそのまま届ける方針でいる。
順に通す検品は、鳴らす台数と一品ごとの深さで所要の重さが決まり、込み合う時期との重なりでも顔を変える。だから最初に定めたいのは、どこまで耳で通すかという深さの決めだ。人の配置も日程の割り振りも、その決めを土台に置いて行われる。
試聴の台をどう並べ、静かな時間帯をどう確保するか。耳で確かめる場の作り方から詰めたいときは、品目と台数のあらましを先に送ってほしい。場の設計から検品の段取りまで、こちらで引き受けて組み立てる。

















