全数検品と抜取の使い分けは、不良を許容できない度合いを軸に実務で決める
一枚も抜き逃したくない品に、全数の列を引く判断
全数検品は時間と手間の掛かる選択です。だからこそ、いつ全数にしていつ抜取で足りるかの線引きが肝心になります。不良を許容できない度合いを軸に、使い分けの組み方を実務で追います。
全数が要る場面、要らない場面
抜取は推定で合否を出す列なので、一定の抜き残しを前提にします。一方で、一つでも市場へ出せば致命的になる品、安全や衛生に直結する品、返品が重い品では、推定では足りません。全数の列はそうした許容の枠がほぼゼロの場面に引くもので、何でも全数にすればよいわけではない。まず不良の重みを分けることが判断の入口になります。
許容できる傷の等級が明確なら、そこへ掛かる手間を置いて見比べると線が見えます。
本数と工程で見るべき幅を読む
同じ品でも、ロットの総数と一人が一息に確認できる幅を掛け合わせると、必要になる日数が読めます。量が多すぎて全数を濃く追いきれないなら、枠ごとに摘んで適合の道筋を読み、崩れが出た型番だけを太く洗う引き分け方が効きます。全数と抜取は二択ではなく、濃淡を混ぜて設計できる列だと考えると判断が楽になります。
総量と工数を並べて見れば、全数が現実的な線か、抜取で十分かを感覚ではなく数字で語れます。
再検と手当ての回路まで数える
全数を回すと、保留の品が必ず出ます。その場で直して列へ戻すのか、工場へ返すのか。再確認の回路が太いと日数が伸びるため、補修の範囲をどこまで現場に渡すかも判断に含めます。直せる品を捨てに回さない設計にして初めて、全数の手間が生きてきます。
保留を溜めて後でまとめて読む形にすると、当日の引きが伸びて出荷の枠へ響きます。戻しの回路を小さく持つほど、全数は現実的な選択になります。
判断を基準書に落とし込む
全数か抜取か、どの品を濃く見るかの線は、当日の場当たりで動かさない方が結果が揃います。致命的・重大・軽微の境と、AQL2.5やAQL4.0の当て方、全数へ切り替える条件を、入る前に紙で閉じておく。基準が一本だと、班が替わっても判定の筋がぶれません。
列の濃さは、品目と本数、出荷の締切に応じて傾いていきます。
許容の線と総量を揃えた段階で、全数と抜取の配分を一緒に詰めます。

















