新商品の立ち上げは試作ロットの検査で合否でなく、設計へ返す言葉を拾う
新商品の立ち上げ、試作から設計へ手応えを返す
試作品の検査は合否を付ける場ではなく、設計へ返す言葉を拾う場です。新商品の立ち上げ段階で、試作ロットから設計側へ渡る記録の作り方を解説します。
試作で拾うのは手応え
図面どおりに組めたかどうかは、寸法の記録だけでは読めません。部品が指の引っ掛かりなく収まったか、締めの途中で硬さが変わらなかったか。こうした手応えは、組んだ作業者にしか残らない情報で、検査の段で拾って言葉へ直します。
拾い方は簡単です。組み立ての順に沿って一巡し、指が止まった位置をその場で書く。止まりの理由は分からなくても、位置だけ残せば設計側が当たりを付けます。
書く人は検査の側に限りません。組んだ作業者本人に一行ずつ口述してもらうほうが、止まりの位置は正確です。検査の役目は、拾った項目を設計の言葉へ並べ替えるところに置きます。
図面へ返す言葉の粒度
使いにくい、では返せません。返す言葉は、どの部品の、どの向きで、どの動きの途中かまで落とします。嵌まりの浅さなら差し込んだ距離、軋みなら回した角度。粒度が揃うと、設計側の修正票が一枚で閉じます。
判断の根拠が図面にあるのか、実物の手応えにあるのかを、報告の頭に一行で置きます。この一行がないと、次の試作で同じ論点が揺れます。
部品の干渉を洗い出す
試作で顔を出す崩れの多くは、単品では正しい部品同士の干渉です。配線の経路とカバーの内側、ネジの頭と工具の届く幅。一覧の形にして、直す先を部品側と組み側へ振り分けます。
振り分けの付いた項目から、治具や段取りの話が始まります。量産の手順に手を入れるべき箇所が、ここで初めて見えます。
干渉の一覧は、次の試作の組み立て順に並べ替えておきます。直った品と残る品が同じ順で並んでいれば、二回目の試作で前回の記録をそのまま引き継げます。順を並べ替えないと、比べる項目を探す手間が回ごとに積み上がります。
量産へ繋ぐ段取り
試作の記録は、量産の検査計画の下書きになります。同じ確認を回数を追って繰り返し、直る箇所を追える形で残します。修正が進んで崩れが消えた項目は、そのまま量産の確認項目から外せます。
図面の版が上がるたびに、直る箇所は数を減らし、確認の負担は少しずつ軽くなっていきます。立ち上げの重さは、この変化で測ります。

















