ムンバイの工場監査は書類の読み替えと現場の橋渡し、二つの仕事に分けて進める
ムンバイの工場監査は書類と言葉の差を橋で渡る
現場の言葉が通じても、紙が別の読み方をされたままでは監査は進みません。ムンバイでの工場監査を、書類の読み替えと現場の橋渡しという二つの仕事に分けて組みます。
数字が通らない
単位の体系、暦の刻み、桁の区切り、日付の順序。同じ数字に見えても読み替えが決まっていないと、記録の評価が逆さまになります。帳簿を開く前に、日付欄をどちらの流儀で読むか合意しておくだけで、後の半日が浮きます。
工程の帳も同じです。何日で作り上げたかの単位がどちらの物かを、読み合ってから照合に入ります。日付の書き方が帳ごとに混在している拠点では、その混乱そのものが所見になります。
冒頭の打ち合わせは二つの言葉で
見る範囲を紙で渡し、渡す側の言葉と現場の言葉の二枚を並べます。一行に用を一つ、主語を動作に寄せます。長い指示文は、訳された瞬間に重心を失うためです。用件は見る列、止める列、写す列の順に置いて、読み上げる前提の紙にします。
判定の語彙も先に決めます。直せる、留める、返すの三つを、指で示せる印に分けておくと、机を囲む人の言葉が違っても同じ箱を指差せます。
質問でなく確認で回る
機械の前で問いを重ねると、答えは取り繕われます。出来ていますね、の相槌は、紙と言葉を同時に鈍らせるため、動いている箇所へ案内させて、その場で記録と読み合わせる形にします。
答えは復唱してもらい、時間をおかずに写します。誰が言ったかを一行ずつ落としておかないと、二つの言葉の記憶が別の話に育ちます。
指摘を現場の形へ
持ち帰ってから読める所見には、場所と番号と現地の呼び名の三つが要ります。日本語だけで書かれた指摘は、向こうの机では動けません。指摘票の番号と記録の欄外が同じ数字で指し合っていれば、再訪の打合は短くなります。
写真は棚の段と床まで収めて撮ります。印象語を並べた行は、帰国後の詰めでは動きようがありません。写真の一枚には現地の呼び名を一言添えると、橋を二度渡らずに済みます。
橋の人員から一日を組み直す
監査の一日は、書類の読み替えと現場の橋渡しで、重さの配分が傾きます。通訳を全日に座らせる日と、要の場面だけ呼ぶ日とでは、積む人の数が変わります。
まずは二つの拠点に絞ってはどうか。言葉と書類の橋をどこへ置くか、その範囲から詰めたい。

















