バッテリーと充電器の外観検査:保護フィルムを剥いだ瞬間の傷と剥ぎ跡の扱い
フィルムを剥いだ瞬間だけ現れる傷を見る、バッテリーと充電器の外観検査
バッテリーや充電器の表面には保護フィルムが張られていることが多く、その下に疵を伏せたまま出荷を狙う品が混じる。剥いだときだけ浮かぶ疵の判定と、剥ぎ跡の扱いをどう決めるか、外観検査の段を書く。
フィルムが隠すもの
充電器の筐体やバッテリーの平坦面に張られた保護フィルムは、輸送中の擦れを防ぐ役目を持つ。だが透明な膜の下では、微細な擦り傷や凹みが判別しにくい。膜を付けたまま表面を撫でて合格を出すと、到着後に客の指で剥がれた瞬間、隠れていた疵が顔を出す。検査の列では、どこまでを膜の上で見て、どこから剥がして確かめるかの線を先に引く必要がある。
全品を剥けば確実だが、剥いだ膜は戻りにくく、新品の顔が崩れる。だから抜き取りの束に交えて、膜の上で疑わしい品に印を付け、その印だけを剥がして確かめる回しを置く。AQLで引いた数に、膜面の気配で足す形にすると、隠れ疵の取りこぼしは減る。
元からの疵と剥ぎ跡の線引き
フィルムを剥ぐと二種類の痕が出る。一つは膜の下に元からあった疵で、光を斜めに当てると筋や凹みとして現れる。もう一つは剥ぎ取りの途中で付いた跡で、接着の残る面や角から入った白濁がそれにあたる。見た目は似ても、後者は表面そのものを損ねていない場合があり、判定を分けなければ良品まで落とす。
剥ぎ跡の扱いは、そこで線引きが決まる。接着の残りは拭いで消えるのか、拭いても残る浅い疵なのか。この分岐を基準見本と写真で一枚に示し、班の目盛りを揃えておく。日本へ渡る品の見栄えや化粧箱の期待値を踏まえると、剥ぎ跡でも目立つ白濁は出荷側で引いた方が、後々は静かに済む。
判定を二人で固める
疵の等級は光の当て方で変わるため、一人の目だけで決めると班の交代で揺れる。斜光を当てる台を置き、二人で同じ角度から覗いて、筋が見える側と白濁が引かない側を声で合わせて、合格か保留かを置く。端子の向きや充電口の欠けなど機能へ効く箇所は、剥がさなくても確認できるよう、膜に切れ目を入れる位置も決めておく。
保留へ分けた品は、膜を張り替えて通すか、そのまま差し戻すかを工場と擦り合わせる。同じ疵が量産のどの地点で入ったかを辿れば、検品はそのまま工程側の直しや監査の話へ繋がる。外観の顔は、こうした一点の積み上げで決まる。
届く顔を守るために
ヨシダ検品は、剥ぐ前提の検査であることを依頼主へ事前に伝えておくことを勧める。膜を一枚剥がして見る段を共有しておけば、届いてからの「隠れていた」を防げる。バッテリーと充電器の外観検査は、表面の見せ方を誰が決めるかで結果が変わる。
判断の分量は、品目と膜の張り方、抜く本数で幅が出る。基準見本と実物を一度並べて見せ合えば、剥ぎの線をどこに引くかまで固まる。箱の中で疵が眠らない外観検査を、共に組み上げることから始める。

















