帽子工場の監査は木型の置き場と型帳の記録から。頂とツバの丸みの出どころ
帽子工場の監査、木型と型帳を土台から読む
帽子の形を決めるのは布ではなく木型です。工場監査を、型置き場の整備と型帳の記録という観点から組み、頂とツバの丸みがどこから来るかを追う段取りにまとめます。
監査の初動は型置き場に置く
帽子を扱う工場へ監査に入ると、多くの者が縫いの列と仕上げ台へ向かいます。ただ形そのものを左右するのは、奥に並んだ型のほうです。最初に足を止める場所を型置き場にすると、その工場の管理の粒度が短い時間で読み取れます。番号の書き方、立てかけの向き、粉の積もり方までが、記録の残し方を物語ります。
生産の合間に型が動き回っている現場では、探す時間がそのまま段取りの遅れへ変わります。置き場所を区切った印が床に残っているか、高さごとに棚を分けているか。見るべきは整っている美しさではなく、探す人手が毎日の工程から消えているかどうかです。
型の傷みは品番ごとに別の顔を出す
木型は使い続けると頂の内側が削れ、縁に微小な段ができます。湿りで反る材もあれば、乾燥で縮む材もあり、癖は材ごとに違います。同じ品番でも型を三つ回しにしている場合、三つ目の丸みがわずかに違うことがあります。抜取で実物を測っても、型の違いまで切り分けるのは容易ではありません。
監査では傷んだ面の当たりを指でなぞり、ツバ沿いの出具合と結びつけて読みます。型を直さずに生地で調整を続けると、次のロットで同じ不具合が別の顔として現れます。傷みをどこまで許すかは、材と製品の形をセットにしなければ決められません。
型帳の行と現物の居場所を照合する
型帳は、どの品番にどの型を当てているかを残す帳簿です。ここが古いと、監査で出る違和感の原因が全部そこに集まってしまいます。冊子の行と現物の番号が合っているか、改訂の日付が途切れていないか、廃番にした型の消し方が揃っているか。三つを順にたどれば、帳簿が生きているかどうかが分かります。
書式は用紙のままでも構いませんが、型の姿と寸法の記憶を同じ行に結べていると、後の検品で役立ちます。型違いによる寸法の差は、検査員の合否の線を揺らすからです。照合の段で、読み違いの出やすい番号の字も合わせて洗っておくとよいでしょう。
型と丸みの関係を検品へ渡す
監査で確認した型の一覧は、そのまま出荷前の検品項目へ引き継げます。どの型で組んだロットかを記した用紙が検品側に入ると、丸みのゆれを不良として数えるか、許容として通すかの線が引きやすくなります。形の差を許容へ回すのか、直す対象に置くのかは、型が管理されているか否かで判断が変わります。
ヨシダ検品でも、帽子の列では型の情報を先に尋ねます。実物だけの判断と、型まで分かった上での判断では、指摘の重さがまったく別物になるためです。日本向けの表示を確かめる段と並びますが、形の土台はここで決まります。
監査の記録として残す
型の状態は一日では変わりませんが、月をまたぐと動きます。だから記録は、撮った順に日付を打つ形に寄せておくと、次回に比較できます。棚の全景と、個別の面のアップと、型帳を開いた行の三枚をセットにすると、読み違えが減ります。
監査に型の点検を一行足すぶんだけ、回遊する日数は前へ出ます。品番の幅と型帳の冊数が写真で伝われば、点検の並びはそこから組み直せます。

















