コート・ジャケットは釦の付け糸と足の深さ、裏地のゆとりを見る
コートとジャケット、見所は釦の引きと裏地の滑り
冬物のアウターは、釦の持ちこたえと裏地の動きで寿命が変わります。軽く引いて確かめる一手間ではなく、糸のかけ方と釦の足の深さ、裾とスリットで裏地にどれだけゆとりを置いたか。冬物専用の着眼を問います。
釦は、外れるかでなく糸で見る
付け釦の点検は、摘まんで引く手前に見る場所があります。糸が穴をどう通っているか、四つ穴なら交差が揃って全穴を抜けているか、軸付きなら掛け回しが甘くないか。冬地の厚みに合わせて、釦と生地の間に糸の盛りで足を作る段も同じ列です。この盛りが不足だと、前立ての厚みに釦が詰まり、着る前に糸擦れからほつれていきます。
釦付けの根元に芯地の厚みが足りているかも、押して確かめます。布の弱い箇所へ乗った釦は、糸の打ち直しを待たずに生地側から裂けます。
閉めた時の手応え
穴を一つずつ通し、閉じる順に手応えを追います。方向の狂い、切り損ねた穴の残り、一段ずれた時の前全体のゆがみまで、閉める動作に表地が従うかで出来が分かります。第一釦を留めた襟の返りの悪さ、間の並びが前立てに沿って乱れていないかは、ハンガーに掛けた姿より先にこの動作で拾えます。
許容の線は見本と合わせて固定しておかないと、確認する人ごとに閉めやすさの尺度が動きます。
裏地の滑り、ゆとりの読み
裏地は生地面積の話ではなく、動ける分の話です。裾の裏地が表に引っ張られていれば、腰掛けた途端に裏地がずり上がり、長いコートでは手を入れて持ち上げ、どのくらい浮くかで量を見ます。背の切れ目での滑りの長さ、留めの位置、開閉で裏が持ち上がらないかまで追う列です。
冬物は厚いセーターの上から腕を上げます。腕を振った時に裏が追従しない一着は、着用中に前へ引っぱられ、縫い代側へ負荷を逃がしに行きます。
裏を見ると表が分かる
冬物の厚みは、裏を見せまいとして作られています。だからこそ、裾を返して見る一手が効きます。縫い代の割伏せの丁寧さ、裏地同士の合わせの幅、表に響いたコブ。内の作りが外に顔を出す品は、同じ縫い目でも寿命が一段短くなります。
冬物は釦の数と裏地まわりで見る幅が動くと、手間の置きどころも揺れます。仕様書とサイズの内訳が届きさえすれば、縫いと滑りの線をどの工程に厚く引くかまで決めます。

















