時計の検品
機械式時計は、針の進みと初期合わせから詰める
時計の検品と聞いて誰もが見るのが文字盤の傷ですが、機械式で後から効くのは針の進みと時刻合わせの手応えです。リューズを引いて初期の時刻を置き、ガラス面とケースをルーペで照らす列まで、一台ずつ追う段を組みます。電子の本体を先に詰める品とは別軸で、針と軸まわりに絞った現場を記します。
針の進みは反復して読む
機械式で最初に確かめるのは、秒針が毎秒同じ間隔で刻むか、あるいは滑らかに流れて一周するかという進みの質です。ただし進みは一度見ただけでは判りません。巻き上げを利かせて数十秒置くと、軸の痩せや異物の掛かりで周期性が崩れる個体が出てきます。時針と分針が重なった瞬間に、針の長さがずれて見える個体、日付の切り替わりが深夜ではなく日中へズレる個体も、この段で拾います。
見落としやすいのが文字盤の中心に対して針が均等に立っているかという点で、一枚だけ傾いた針は、使うまで気づかれません。
初期時刻合わせの段を見る
届いてから人が最初に触るのが、リューズを引いて時刻を置く作業です。第一段で針が止まるか、第二段で日付や時刻が回るか、回した分だけ針が付いてくるか。送り方向の逆転や、空ぶかしの出方は一台ずつ手応えが違います。合わせ終えて押し込んだときに時刻が進み始めるかまで見て、戻りの硬い個体、緩くて勝手に引ける個体を分けました。初期合わせが詰まる品は、どれだけ外観が整っていても出荷へ進ませません。
ガラス面とケースを拡大して照らす
風防の内側に入った埃、ガラス端の欠け、ケースの縁に残る成形のバリは、裸眼では滑ります。ルーペを当て、斜めから光を返して、傷が内側か外側かを切り分けるのが基本の段です。裏蓋の目地、リューズの付け根、ラグの曲がりに掛かった小傷まで順を追えば、売り場で初めて気づかれる難が一つ減ります。拡大で見た傷は、位置と長さを書き添えて等級に分けて置くと、後工程で磨けるか出し直しにするかの判断が速くなります。
本数と見る列で段を組む
針の進みと初期合わせまで見る列は、外観だけ追う列より時間が掛かります。だから全数を同じ濃度で追うのではなく、型ごとに抜いて適合の筋を読み、崩れが出た品番だけを濃く掃く分け方が有効です。判定は写真と数値を一対にして紙へ落とし、次ロットで針の立て位置が変わっていないかを突き合わせられる形に残します。ヨシダ検品は、外観と作動の列を分けて記録する進め方に合わせています。
ガラス面まで開くか外観に留めるか、その分岐で段が変わります。本数と項目を書き添えてもらえれば、日数へ落とし込みます。
初期合わせからルーペ点検までを一続きに据えたい時は、機械式の本数と見る範囲を記した紙をお預かりします。

















